京都府への要請を行いました。

2022年5月27日

京都府知事 西 脇 隆 俊 様

  私たちは、京都府が策定されました「北山エリア整備基本計画」の見直しを求め4次にわたり署名を提出し要請をしてきました。 昨年11月に開催されました説明会では疑問や危惧の声が相次ぎ、私どもの公開質問状に対しても事業規模など核心になることは明らかにされないまま経過しています。1月末にKPMGから府に提出された報告書は、3月に入り府議会総括質疑終了後に示され、知事選挙でも公約にも北山エリア整備については言及すらされていませんでした。 しかし、知事選挙が終わると、植物園整備に係る有識者懇話会が近く開催を予定され、5月1日の組織「改正」ではコロナ対応の最前線の保健所にはわずか2名しか増員(保健師5名増、事務職等3名減)が図られない一方で、北山エリア文化施設政策監のもとに16人の体制が組まれています。貴職の北山エリア整備基本計画が見直されることなく、これを推進される姿勢に私どもは危惧を抱いています。 そうしたもとで、私たちはあらためて特に下記の点を出発点に整備基本計画の見直しをもとめ、未来を生きる子供たちに責任を持つ計画になるよう強く要請いたします。

                 記

  1 北山エリア整備計画は、官民連携ですすめられるプロジェクトとして計画されていますが、府民の財産である貴重な価値のある空間に民間を呼び込み巨大アリーナやホテルも含む商業施設を整備することは多くの重大な問題を伴うものです。強行されれば大がかりな工事も含め、植物園をはじめとする生態系や豊かな自然、地域住民の生活環境、府立大学の教育・研究環境を破壊するものです。また、KPMGの報告書だけでも600億円を超す負担が想定され府財政にも影響を及ぼし、取り返しのつかない事態を招きかねません。 そうした恐れにある当該計画は撤回し、北山エリアの将来のあり方について住民や学生、教職員の意見を聞くことからはじめること。

  2 昨年11月に開催された北山エリア整備計画等に係る説明会は早々に定員に達し、多くの希望者が参加できませんでした。また説明会当日に質問できなかった方の意見や質問などはせっかく集められたにもかかわらず回答も公開もされていません。 あらためて、北山エリア整備基本計画をゼロベースで見直し、第2回目の説明会、タウンミーティングなどを行い、計画の見直しに徹底して府民が参画できるしくみを構築すること。

  3 100年近い歴史を持ち、府民・国民に広く愛されてきた類まれな京都府立植物園については、植栽面積を縮小し、賑わい・交流エリアとして公園化、商業化するのでなく、歴史、実績、環境を踏まえ植物園本来の機能と体制をさらに強化すること。   また、有識者懇話会については、限られた傍聴参加でなく、オンラインも含めたものとし、有識者懇話会委員と地域住民等との意見交換の機会を持つこと。

  4 地震が頻発するなか府立大学の体育館、校舎の多くは老朽化し、震度6で倒壊の恐れも指摘されています。耐震上も改修・改築等の整備は一刻の猶予も許されない喫緊の課題です。老朽化した校舎の改修・改築を最優先するとともに、アリーナでなく大学体育館として整備を急ぐこと。 どうしてもアリーナが京都市内に必要なのであれば、府立大学体育館をあてにするのでなく、京都市体育館の改修や府立体育館の活用とともに、長崎スタジアム(ジャパネットタカタが自治体に頼らず用地確保・建設・運営)等全国で少なくないプロジェクトで展開されているように他の適切な場所で民間の責任でつくること。

  5 旧総合資料館跡地の活用については、地域住民や関係者の意見を踏まえたものとして整備すること。

 

北山エリアの将来を考える会
                京都府立植物園を守る会
京都府立植物園整備計画の見直しを求める会(なからぎの森の会)
植物園の環境と景観を守る北区の会
北山エリアを考える府大学生有志の会
北山エリアを考える府大卒業生有志の会

 


5月27日に京都府知事に対して申し入れを行った際に、京都府文化施設政策監の角田氏ほかと要請内容について遣り取りをしました。 KPMGの報告でアリーナの規模が巨大で大学の教育環境を破壊するものだという指摘に、角田氏は「あくまでもイメージで、方向性を示したものだ」と言い、北山エリア以外の地に建てるとか、他のアリーナが民設で建てられている例も出したところ、北山エリアとは別の場所に建てる可能性も否定しませんでした。 植物園長が「植物園は縮小するのではない。府立大学の学生にとってはキャンパスの緑が広がっていくことになる。」と22日のシンポジウムで述べたことに対して、垣根が取り払われるのではないかと懸念を出したところ、「垣根を取り払うことはない、住民の意見、職員の意見も聞いて、専門家の意見も聞いて、それぞれの施設ごとに内容を決めていく」と述べました。有識者懇話会メンバーと住民団体の意見交換の機会を持つように言うと、「検討したい」と述べました。植物園長と府立大学長に懇談を申し入れているのに会おうとしないことについて、「会うように言っておく」と述べました。 個々の施設の検討をするだけでなく、京都府として全体に責任を持って計画の見直しをするように、13万7千筆の署名や3月のパレード300人の声を聞くように申し入れました。 さらに署名を積み重ねて住民の声をぶつけていかねばなりません。

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