賛同のお言葉や決議

(順不同)

京都大学大学院 生態学教授 加藤 眞様より 私は、日本の園芸文化の継承に心血を注いでいる森和男さん(本紙昨年5月16日付既報)の呼びかける署名で計画を知り、植物園の開発計画に疑問を持ちました。
私の研究分野は生態学で、主に花と虫の共生について研究しています。世界の植物を学ぶ京都の学生にとって、府立植物園は生きた植物の多様性を観察できる貴重な空間で、実習で訪問することもあります。
例えば源氏物語の賢木(さかき)の巻には、千年前の自然風景が印象的に描かれていますが、京都にそのような自然空間が残っていてほしいと思っていました。
府立植物園は、上賀茂神社と下鴨神社をつなぐ重要な場所で、鴨川沿いの氾濫原の一画を占める京都の原風景を残すものです。
都市化や住宅地が広がる中、古典に描かれた自然の「野」のたたずまいを守ることが重要になっていると思います。開発計画にあるようなイベントスペースを作ったり、垣根を取り払って公園化するようなことがあれば、この空間を守ることはできません。
日本最古の植物園である東京都の小石川植物園は、江戸幕府によって作られた薬草園としての伝統を引き継ぎ、市民に愛されています。東京、関東平野で失われつつある自然を残す貴重な施設です。
京都でもこの先100年、200年を超えて府立植物園を残し、京都の貴重な自然を守る役割を果たすことが重要だと思います。
(「京都民報」2022年1月23日号より転載)
スウェーデンのヨーテボリ植物園園長より 皆様
北山エリアと、生物多様性の世界的な宝物の一つである京都府立植物園についての計画を知り、深く憂慮しています。
今日生物学的なコレクションは、生物多様性に対する脅威のせいで、その重要性は大変大きくなってきています。そのことは、生物多様性と生態系に関する国際的アセスメントの報告にも記述がある通りです。したがって、京都府立植物園に存在するような植物を将来に亘って保護し、育成していくことは、さらに重要になるでしょう。
 そしてまた、専門的な場所での重要な(植物育成と保護という)作業と、地球全体の生態系の中にある植物とその多様性が果たしている役割を多くの人々が理解することは(そして、このことこそが全ての植物園の核となることなのですが)、本当に大切で、これからも進めていかねばなりません。
 私は北山エリア開発の計画を進める全ての方々に、京都府立植物園が将来の世代のために大切な作業を続けていけるように、この様な開発は見直すように強く求めます。
                  Mats Havström, PhD
             ヨーテボリ植物園 園長
            

(訳:斉藤真奈美)

和歌山県植物公園緑花センター園長 岡田恵美様より 植物園としての環境は守られるべきです。なからぎの森の会の活動に賛同致します。
はままつフルーツパーク時之栖園長 村上孝弘様より 
映画監督 神山征二郎様より 
洋画家 中西繁様より 私は鎌倉市に40年近く住んでおります。近郊に大船フラワーセンターという神奈川県立の植物園があります。かなり前ですが県は財政上の理由から閉園をしようとしましたが、住民から存続を願う運動がありその結果、今日まで続いております。四季折々の花々が咲きとても素晴らしい植物園です。京都府立植物園は100年も続く学術的に貴重な施設と聞きます。府は計画説明さえせず、金儲け主義の改変のようです。全くけしからんことです。植物園を守る運動に賛同します。
日本鳥類保護連盟京都

 2021年8月30日

京都府知事 西脇隆俊様

意見書

        (公益財団法人)日本鳥類保護連盟 
                                代表 高桑進

 京都府に「北山エリア整備基本計画」(府立植物園に関わる)の見直しを求めます。
私たち(公益財団法人)日本鳥類保護連盟京都は、以下の理由で北山エリア整備基本計画(2020年12月に策定))計画の見直しを求めます。
〇 北山通り側の植物園敷地内での商業施設建設の見直し。
理由;ここには、絶滅危惧植物保全温室、絶滅危惧種園、中国植物園、四季彩の丘、つばき園、さくら品種見本園など貴重な施設があり、植物園の機能を損なう計画に反対します。
〇 イベントを目的とした大芝生地への野外ステージ設置の見直し。
理由;ここではすでに利用者により十分に活用されておりこのような施設は不要です。
私たちは、この整備計画について上記のことを要望致します。
京都アートカウンシル

決議文

 京都府が京都府立植物園を含む京都市北山エリア整備基本計画において、新施設建築のために、植物園の木々を伐採したり、芝生広場やバラ園の面積を狭めようとしていることを多くの府民が下記のような理由から憂いています。
1 京都府立植物園では100年近い歴史の中で貴重な樹木が育成管理されてきた。
 2 多くの府民等の憩いの場となっている。
 3 もともとは神社の鎮守の森でもあった植物園を公園化してしまうと、植物の生態にどのような影響が起こるかはかりしれない。営利活動も含む当計画によって府民の貴重な財産でもある植物園の生物学的価値に影響を与えるべきではない。
 4 世界は2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択されたSDG S(持続可能な開発目標)のもと、様々な取り組みを進めています。その観点からしても、植物園を守ることは、持続可能な地球環境のためには植物と人類の共生の在り方が問い直されていることを学ぶ機会となります。植物園は府民等にSDG S普及の役割を担う側面もあります。人間のエゴイズムを反省・振り返る機会を作り得ます。
 私たちも同じ理由から京都府の北山エリア整備基本計画の再考を求め、特に樹木の恣意的な伐採に反対します。また、この計画案は新型コロナウイルスが発生する以前に作成されたものと聞いており、作成時に比して悪化している京都府の財政状況を考慮し、現在の視点から見直しが必要です。以上決議します。

2021年9月
京都アートカウンシル
代表 貴志カスケ

元京都府立植物園第8代園長 中村幸男様 府民・市民の将来に誇れる財産です。
150~200周年に向けて守って下さい。府立植物園を!
元京都府立植物園第9代園長 松谷茂様 京都府立植物園は、公園でも庭園でもなくホンマモンの植物園です。
100年以上も前、この地に日本一の植物園を構想した第十代京都府知事大森鍾一氏、莫大な資金を寄付いただいた三井家同族会ら先人たちの熱き 思いを、ないがしろにするような計画は必要ありません。歴史と伝統を尊重しましょう。整備計画の見直しを求めます。
元京都府立植物園第10代園長、元日本植物園協会副会長 金子明雄様 先進国といわれる日本において、植物園でこのような整備が行われることは、世界の植物園では信じられないことである。公園をつくりたいのなら、植物園とは別につくればいいだけのことである。公園は1年でつくれるが、植物園は「生きた植物の博物館」であり、百年、二百年と要し、未完の施設である。
北海道大学客員教授 元旭川市旭山動物園長 小菅正夫様 府立植物園をこのまま維持することが、今の我々が未来のために果たす責任です。
これまでも、多くの人が、そうやって府立植物園を繋いできてくれたからこそ、今があるわけです。先人の努力と熱い思いを我々の代が無にするわけにはいきません。多くの人が思いを一つにして結集しすれば府の暴挙を食い止めることができると思います。
声を挙げましょう。前へ進みましょう。今できることをやりましょう。

* なからぎの森の会トップへ