京都府立植物園の整備計画の見直しを求めるアピール

 京都府立植物園は京都の住民にとってなくてはならない文化的、学術的施設です。百年近くにわたり老若男女多くの人々がここで、憩い、語り、学んできました。5万本超の樹々に囲まれ、比叡山と北山を借景に取り込んだ24ヘクタールの園地は、府と植物園に働く人々に支えられ、幾多の困難を乗り越え て、人々を育み、励ましてきました。
 その植物園がいま重大な岐路に立っています。京都府は2020年12月に「北山エリア整備基本計画」を作り、その一環として、植物園を賑わいと遊興の出来る施設に変えようとしています。すなわち、大芝生地(そこは子供らが嬉々として素足で走り回れる伸びやかな空間!)には野外ステージが設置さ れ、イベントで賑わう場所になり、園の境界を削り、外部との出入りをしやすくして、園に隣接して商業施設を並べようというのです。これではどこにでもあるただの緑地公園になってしまうのではないでしょうか。植物と人間が織りなす静かな空間は消え、野鳥も近寄れない喧噪の場に置き換わっていくのではないでしょうか。また、しっかりした境界がなくなると、利用者の安全、安心も担保されなくなってしまいます。
 こんなことをすれば営々として築かれてきた京都府立植物園というかけがえのない公共財産にとりかえしのつかないダメージを与えてしまうことになるのではないでしょうか。目先の「もうけ」に走って整備改変するのは後の世代に対しても申し訳が立たない行為になります。
 わたしたちは、植物園が今後とも「生きた植物の博物館」として機能するためには、植物園の環境全体の保全が欠かせない基本的条件であると考えます。京都府は、府民に愛されてきたこの類まれな京都府立植物園の歴史、実績、環境をいま一度考え、拙速な整備計画を再検討するよう、わたしたちは要望します。
                   2021年4月22日
            京都府立植物園整備計画の見直しを求める会
              ( 通称「なからぎの森の会」 )

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